いざ初舞台!!ステージの照明の明かりが忘れられない。(再スタート編)

いよいよ当日。

 

僕たちはいつも通り集合して、自転車で会場に向かった。

不思議と緊張はしていなかった。

楽しみの方が大きかったからだと思う。

 

会場に着き、まずは舞台の確認をした。

 

先生は色々セッティング等で忙しそうで、その様子を見ていたら

少し緊張感が出てきた。

 

徐々にわろてんかのメンバーも集まってきた。

「楽しみやねー」って言っている人もいれば、緊張している人もいた。

 

喜劇のリハーサルをした。

 

全体の流れとかはできていたけど、セリフに詰まったりで

「これ大丈夫か?」

と思うこともあったけど、そこはツッコミでカバーできていた。

みんなが笑いあっていて、少しずつ緊張がほぐれていくのを見て

「なんとかやれそうだな。」

と思えた。

 

喜劇のリハーサルが終わると、漫才のリハーサルを少しだけした。

 

出番の確認と小道具の確認程度で、時間がなかったからすぐ準備に入った。

 

衣装を着て、

 

軽くネタ練習をして、

 

本番を待った。

 

先に漫才を披露してから、喜劇に入るという流れ。

徐々にお客さんも入ってきて、ほぼ満員になっていた。

客席をみて

「いよいよかー」

と気合をいれた。

 

みんなも「がんばろうね」「ファイト!!」「できるよ!」

と励ましあっていた。

 

本番前の雰囲気も良いまま、準備万端で本番が始まった。

 

最初は先生のたーじーが、

ピンネタをして客席を温めてくれた。

 

さすがプロの芸人さん。

 

声も出ていたし、ドッカンドッカン笑いをとっていた。

 

そのあとにメンバーが漫才やコントをした。

オリジナルで考えたネタ。

 

この半年で取り組んできたことを今、目の前でみんなが一生懸命に

披露している。

 

自分たちの出番はまだなのに、気持ちが熱くなった。

心から応援した。

客席から笑いが起こると、僕もうれしくなった。

 

そして、いよいよ僕たちの出番。

 

上座の袖で相方と待機していた。

出囃子が流れて、

センターマイクまで元気よく飛び出した。

 

「はいどーも!!」

 

ステージの照明がすごく明るくて、一瞬客席が全然見えなかった。

 

その一瞬は誰もいない自分たちだけの空間だった。

 

徐々に目が慣れていき、

 

客席をしっかり見ることができた。

 

お客さんが本当に温かくて、ありがたいことにたくさん笑ってもらえた。

漫才をやっていて「こんなに楽しいもんなんだ。」と感じていた。

 

無我夢中でネタを進めていくけど、

途中で聞こえる笑い声がしっかり聞こえていた。

 

最後になるにつれて、気持ちが熱くなり

テンポがめっちゃ早くなってしまっていた。

 

それでもそのテンポに気づかないくらい集中していた。

笑い声も増していた。

 

「もっと漫才をし続けたい。」

 

「まだやりたい。」

 

そんなことを思いながら、

僕たちはネタをやり切った。

 

「どーも、ありがとうございましたー」

 

拍手を浴びながら袖にはけた。

 

相方とハイタッチをした。

 

最高の瞬間だった。

 

相方に「めっちゃ良かったな!」と言うと、

「まだやりたかったわー」

と僕と同じことを思っていた。

 

半年前の自分たちはこんな経験ができるなんて思ってもいなかったのに。

 

初舞台でしっかりウケたことがめちゃくちゃ嬉しかった。

 

今まで色々あったけど、自分にもお笑いができたことが嬉しかった。

 

そして喜劇。

 

みんな出番前は緊張したりだったけど、

本番になると楽しくてバンバンアドリブをいれていた。

 

僕も演じていてとても楽しかった。

 

複数人でやる劇の楽しさを知れた。

 

お客さんもたくさん笑ってくれた。

 

不安もあったけど、あっという間に喜劇が終わってしまった。

本当にあっという間だった。

 

漫才も喜劇も成功に終わることができた。

 

何よりこのメンバーに出会えて、本当に良かった。

 

自分だけで悩むことも大事。

自分だけで考えることも大事。

 

しかしそれだけでは、限界がある。

 

人を頼って、

人との関わりを大事にする。

 

そうすることで、人生は前に進む。

 

そして僕たちは次のステージへと行く。

 

松竹芸能の養成所のオーディションがある。

 

それに受かってこそ、芸人として前進することができる。

 

まずはスタート地点に立つこと。

まだまだこれからなんだ。

そう自分に言い聞かせた。

 

僕は今日見たステージの照明の明るさを忘れない。

 

 

 

優しいお笑い!!自分のお笑いを見つめなおす。(再スタート編)

社会人お笑い講座「わろてんか」のメンバーは、

みんなおっちゃん・おばちゃんだったけど

優しくて心温かく僕たちを受け入れてくれた。

 

講座の内容は、漫才・コント・ピンネタ・お芝居を勉強した。

 

大体の流れは、まず先生が用意してくれたベタな台本をもらう。

その台本のお手本をみせてもらう。

そのあとに僕らがその台本通りにやってみる。

そのままでもいいし、動きやセリフを自分たちでアレンジするのもOK。

最後に完全オリジナルでネタを披露する。

 

という講座の流れだった。

 

漫才やコントの時は、ランダムで相方を決めてやったので新鮮で

楽しかった。

 

なによりみんなたくさん笑いあっていた。

 

ネタを披露した時は、手をたたいて笑ってくれたり、

しょーもないことでも笑ってごまかしたり、

セリフに詰まってもみんなでカバーして笑顔になったり。。

 

僕がNSCに居たときの殺伐とした雰囲気とは全然ちがっていて、

すごく温かい雰囲気だった。

 

何回か講座を受けていく中で、

僕はあることを思うようになっていた。

 

それは、

「お笑いってなんでもアリやし、温かいものなんや。」

このことを強く感じていた。

 

今までの僕のお笑いは、

とにかく「発想」で勝負しようとしていた。

 

他の芸人とは違う、自分だけのお笑いにすごくこだわっていた。

 

でもこだわることで、逆に自分を縛っていた。

 

そうじゃない。。

 

お笑いってなんでもアリやし、笑ってもらってなんぼやん。

楽しそうな雰囲気とかも大事やん。

 

まずはお客さんが笑える雰囲気から作らないと。

「あっ、笑ってもいいんだ。」

という安心感から作らないと笑いにくくなる。

 

だから「発想」だけにこだわるんじゃなくて、

「笑いやすい雰囲気」ということにもこだわろう。と思った。

 

それをわろてんかのメンバーや先生が教えてくれた。

 

僕のなかではとても大きい気付きだった。

 

それからはゆっくりした口調、

聞きやすい言葉選び、

ネタの分かりやすさを重視した。

 

実際に講座の中でネタを披露するときは、

結構ウケることが多くなっていった。

 

先生からも「おもしろいねー」って言ってもらえた。

 

少しずつだけど、成長を感じることが出来ていた。

 

そして講座も終盤になっていき、

僕たちは最終公演の舞台練習に取り掛かった。

 

最終公演は、100人くらいのお客さんをいれて

漫才と喜劇を披露する。

 

漫才は相方と、

 

喜劇は講座のみんなと、

 

舞台に立つ。

 

実際にお客さんの前でネタを披露するのは初めてだ。

 

これが僕たちの初舞台となる。

 

長かった初舞台までの道のり。

 

当日を迎えるまでもちろん緊張はしていたが、

それよりもワクワクが止まらなかった。

 

ネタも自信のある良いのが作れたし、

練習も悔いが残らないくらいやった。

 

喜劇の方も、最初はめっちゃグダグダだったけど

みんな必死に練習して良い状態に仕上げることが出来た。

 

そして、いよいよ当日を迎えた。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わろてんか!!社会人お笑い講座に入り、半年修行。(再スタート編)

それは図書館の入り口に置いてあった。

 

さまざまな講座紹介のチラシの中に、

 

わろてんか!一緒にお笑いやりませんか?」

 

という文字を見た。

 

なんだ、これは。。

 

少し興味が沸き、チラシを手に取ってみると

 

社会人が集まって漫才やコントを勉強し、実際にやってみる。という、

体験型の講座だった。

 

しかも講師にはプロの芸人さんがついてくれて、

全部の講座が終われば、舞台にも立てるという内容だった。

 

「これ、いいやん!!」

 

早速相方に話をすると、

 

「・・・」

 

「なんやねん、これ?」

 

と戸惑っていた。

 

僕は一通り説明し、

 

「面白そうじゃない?」

 

「舞台にも立てるって書いたるし、やってみようよ」

 

そう話すと、

 

「うーん。そうやな。やってみるか!」

 

と了承してくれた。

 

その講座を受ける初めての日。

 

僕たちは少しドキドキしながら会場に向かった。

 

どんな人がいるんだろう。。

 

雰囲気についていけるのかなぁ。

 

ちょっと帰りたいなぁ。

 

そんなことを思いながら講座を受ける部屋に入った。

 

普通のおじさん、おばさんたちが談笑をしている。

 

「あれっ、部屋まちがえたかな。」

 

と思い、受付に確認するが間違いなかった。

 

僕たちはもう一度部屋に入りあいさつをした。

 

「こんばんはー」

 

すると、笑顔で挨拶を返してくれた。

 

年齢層は高めで、一番年上の人で77歳のおじいさんも居た。

 

みんな楽しそうに話していて、雰囲気は明るかった。

 

そして講師の先生が部屋に入ってきた。

 

「自己紹介しまーす。お尻芸人のたーじーです。」

 

玉山鉄二のお尻役で、ドラマに出演してました。」

 

「玉山君のお尻を撮るシーンがあったんですけど、

その生尻は僕のおしりだったんですよー。」

 

 

強烈だった。。

 

周りのみんなは爆笑していた。

 

先生の自己紹介が終わると、講座を受ける生徒の自己紹介が

始まった。

 

主婦、サラリーマン、定年退職をしたおじさん、おじいちゃん。

 

僕たち以外のみんなは去年も講座を受けていたみたいで

先生とは顔なじみだった。

 

そして僕たちの番。。

 

「はじめまして。」

 

「にいちゃんと言います。」

 

「21才です!」

 

と言うと、

 

おばちゃんたちが

 

「えーめっちゃ若いやん!」

 

「ウチらの子どもと同じくらいの年やん」

 

「どーしよう。ウチらおばちゃんや」

 

と僕たちの自己紹介なのにすごく盛り上がっていた。

 

そのおかげで、明るい雰囲気で自己紹介を終えることができた。

 

この日は、これからの流れや設備の説明などがあって終わった。

 

帰り道に、相方と今日のことで色々話した。

 

「若い子全然おらんやんけ!(笑)」

 

「なんやお尻芸人って!」

 

「大丈夫なんか。この講座?」

 

でも2人とも

 

「なんか面白そうやな!」

 

という同じ感想だった。

 

そしてこのお笑い講座が、

 

僕たちにとって素晴らしい経験をさせてくれることになっていった。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンビ再結成!!松竹芸能所属を目標にする。(再スタート編)

大阪に来て2年目の冬。

 

元相方に連絡を取り、久しぶりに家に行った。

 

6畳1Rの狭い部屋。

 

そこで色んな話をした。

 

今年は芸人としての活動が出来なかったこと、

バイトで出会った芸人の先輩の話し。

これから自分がどうしたいか。

 

そして、1年間なにもできなかった情けなさを伝えた。

偉そうなことを言って、コンビを解散して何もできなかった。

 

「本当にすいませんでした。」

 

と頭を下げた。

 

ちょうど1年前、この部屋でコンビ解散の話を僕から切り出した。

 

そのわけは、自分がただ現実と向き合っていないのに相方のせいにして

ばかりいたからだ。

そのことを謝罪した。

 

「そして、もう一度漫才がやりたいです。」

 

「コンビをもう一度組んでください。」

 

僕はさらに頭を下げた。

 

すると、

 

「いいよ。もう一度やろーぜ!」

 

と言ってくれた。

 

本当にうれしかった。

 

今度はちゃんと自分と向き合う。

そして相方にも向き合う。

 

このことを心に決めた。

 

 

新年を迎え、

 

 

僕たちはネタ作りから、

ネタ練習を初心にかえって必死に取り組んだ。

 

お客さんの前でしっかり披露できるように、

いつでもできるようにストックを増やした。

 

地道だったけど、徐々に感覚が戻ってきて、

しかも以前よりアドリブも効くようになってきた。

 

練習もマンネリしないように工夫した。

 

そして僕たちは1つの目標を掲げた。

 

松竹芸能に入ろう。」

 

前からちょくちょく話していたことだったけど、

吉本より松竹の雰囲気があってるのかもしれない。

 

しっかり自分たちに合う事務所に入って、芸人活動することが

大事だとおもった。

 

松竹芸能に入るには松竹がやっているタレントスクールに入って

1年間で卒業して、晴れて所属芸人になるという仕組みだ。

 

また養成所に通うことになるけど、

所属芸人になれる一番の近道はこれだった。

 

目標が決まった僕たちは、さらにやる気がでた。

 

しかし今年の応募は締め切っており、来年の応募になった。

吉本とちがって、松竹の場合はオーディションがある。

そのオーディションに受かるために、今年は漫才を仕上げることに

決めた。

 

練習して、ネタを披露できる場所も見つけて、

経験を積もう。

準備を完璧にして、来年のオーディションに備えよう。

 

これからが楽しみになった。

 

久しぶりにワクワクもした。

 

そして1歩踏み出した僕たちに、新たな出会いが待っていた。

それは、とても貴重な体験になるものだった。。

 

 

 

 

芸人としての覚悟!!先輩に教えてもらった芸人魂。(プー太郎編)

かなり落ち込んでいる様子だったけど、

しゃべるといつも通り明るい感じだった。

 

だけど無理やり明るくふるまっているように見えた。

 

僕は

「何かあったんですか?」

と先輩に聞いた。

 

するとバックヤードにいた社長が

「妹さんが亡くなられたんや。」

と言った。

 

「えっ?」と、聞き返すと

 

先輩から

「そうやねん。しかも自殺らしいわ。」

と言われた。

 

僕はそんな話を聞くと思っていなかったから、すごくびっくりした。

 

なんて声を掛けたら良いかわからなかった。

 

すると社長が、

「今日のバイトはええから早く愛媛に帰れいうてんねんけど、

全然帰らへんねん。」

と言った。

 

「明日はライブの出番がありますし、いつも通りバイトしてた方が

気がまぎれて良いんですよ。」

と先輩がつぶやいた。

 

僕も「今日は僕1人でやりますから、早く帰ってあげてください。」

と伝えたが、

 

「いつも通りがええねん。」

 

と言って、そのままバイトをはじめた。

 

なるべく休ませてあげられるように、いつもより作業をがんばったが

どうして接していいかわからなかった。

 

深夜に入りお客さんが少なくなると、先輩が話してくれた。

 

「妹とは1つ離れてるだけで、めっちゃ仲よかってん。」

「この間も電話でしゃべったし。」

「なんでなん?って思うけどしゃーないねんな。」

 

そして明日のライブの出番についても話してくれた。

 

「明日はとりあえずやりきるわ。」

「自分が出るって言ってエントリーしたライブや。」

「自分がつらい時にこせ笑わせなあかんねん。」

 

そう言っていた。

 

先輩は今すごく辛い状況なのに、

自分の選んだ道を貫こうとしている。

 

僕だったら迷わずバイトも休んでいるし、

ライブも休んでいると思う。

 

当然僕みたいなぺーぺーと違って、

舞台の場数も多いし、

苦悩もたくさんあったと思う。

 

そんな先輩を見て、自分自身がものすごくちっぽけに見えた。

 

「これが芸人をする人の覚悟か。。」

「おれって全然ダメじゃん」

 

僕はこれまで自分なりに必死になってやってきた。と、

どこか思い上がっていた部分があった。

 

確かに必死にやった事実もある。

 

だけど全然甘かった。

 

まだまだやらなきゃいけないと感じた。

 

それを先輩は姿で教えてくれた。

 

バイトが終わると先輩は、

「今日は気つかわしてゴメンな」

と言って帰っていった。

 

全然そんなことなかったのに、その一言が言えることに

改めて尊敬をした。

 

そして決意する。

 

もう一度芸人としての1歩を踏み出そう。

自分が出来る限界までやってみよう。

面白い漫才をつくるんだ。

 

僕は初心に戻り、新たな挑戦を始めた。

 

 

 

堕落人生!!夢を追い求めるはずが、遊び暮らしてしまう。(プー太郎編)

大阪に来て2年目。

 

春になり僕は、また1人になった。

 

相方とは解散して自分の道へ進もうと決めた。

 

不安はあったけど、やるしかない。

 

気合を入れた。

 

レストランの皿洗いのを辞めて、コンビニのバイトにした。

 

日中少しでも活動できるように夜勤で働いた。

 

深夜バイトをして、昼間に芸人としての活動をした。

 

忙しかったけど、何もしていないと不安に押しつぶされそうで

とにかく必死だった。

 

最初は新しい相方を探した。

 

劇場に行ったり、

ワッハ上方というお笑いが勉強できる施設に行ったり、

バイト仲間から探したり、、

 

だけど全然見つからなかった。

 

当時はまだSNS文化がそこまで流行していなくて、

実際に直接声をかけながら探していた。

 

NSC時代の仲間とは全然交流を深めていなかったので、

連絡も取れなかった。

 

次第に夜勤のバイトをして、

疲れて帰ってきて、

寝て、

またバイトに行く繰り返しになっていた。

 

気づいたらお笑いからどんどん遠ざかっていた。

 

バイト仲間と遊ぶようになり、

酒を飲み、

ストレスを発散していた。

 

ただのダメ人間になってしまっていた。

 

それでも当時の自分は、

「自分は他の人とはやり方が違うだけ」

「きっかけさえあれば、まだやれる」

「オレは芸人なんだ」

と思っていた。

 

このままではいけないという気持ちはあったものの、

現実から逃げてしまっていた。

 

そうしてだらだら過ごし、

 

秋になった。

 

相変わらずコンビニの夜勤をして生活をしていた。

漫才の勉強だけは続けてはいたが、活動はできていなかった。

 

「今年は全然ダメだな。」

 

そう思っていたころ、

1人の芸人の先輩と出会う。

 

その人はバイト先が同じで一緒にシフトに入るようになってから、

知り合った。

 

愛媛県出身で僕より4期先輩の漫才師さんだった。

 

主に難波にある小さい劇場でやるライブに出ていて、

 

も賞レースを目標に漫才をがんばっている芸人さんだった。

 

バイトもしっかりこなして、

 

すごく優しくて、

 

面倒見の良い感じの人だった。

 

僕は今までのお笑いの先輩のイメージは、厳しい印象しかなかったので

少しびっくりした。

 

家がたまたま近所だったので、バイト終わりはいつも一緒に帰っていた。

 

そして、色んな話をした。

 

お笑いのことや、今までの過去のこと、これからのこと。。

 

そんな先輩とがっつり絡んだことは無かったので、

とても楽しかった。

 

しかしその先輩も売れたいけど、なかなか芽が出ないと悩んでいた。

 

そんなある日のこと。

 

いつも通りバイトに行くと、えらく沈んだ顔の先輩が居た。

 

そのわけは、とても悲しい事が起きていたからだった。

 

次回につづく。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらば!!卒業公演に参加できずに終わったNSC。。

新年を迎えた。

 

あと3ヶ月でNSCを卒業する。

 

僕たちはコンビ解散をするための最後のネタを、

NSCの卒業公演で披露することを決めた。

 

新ネタを用意し、

 

練習も良い感じに出来た。

 

自分の中でこれがこのコンビでやる最後のネタだと思うと、

自然と熱が入った。

 

でも、楽しくは無かった。

 

少し張り詰めた空気が2人にはあったからだ。

 

正直、自分でもこのまま2人で楽しく漫才がやれたらベストだなって

気持ちもあった。

 

だけど、お互いがしっかり漫才と向き合うには解散すべきだ。と思ったことは変わらなかった。

 

そんな中、卒業公演にエントリーが出来なくなってしまった。

 

理由は、授業を休みがちだったのと、

 

自分たちのネタの評価が全然低かったということ。

 

この1年間、真面目に授業に来て色んな試練を乗り越えてきた同期と、

 

壁にぶつかったらすぐ立ち止まっていた僕たちとでは、

 

ものすごく差がついてしまっていた。

 

能力の無さと、

 

気持ちの弱さのせいで、

 

僕たちは完全に取り残されてしまっていた。

 

残ったのは、不安しかなかった。

 

最後のネタを披露する場所もなくなり、

 

卒業もできなくなった。

 

これから芸人としてやっていけるのか、不安でいっぱいだった。

 

 

そして3月。

 

 

同期が卒業公演をするなか、僕たちはコンビ解散をした。

 

各々自分の道を行くために解散をした。

 

このNSCではたくさんのことを経験できた。

 

地元に居ては絶対経験できなかったこと。。

 

確実に1年前の自分より成長していることも感じていた。

 

これからもやれることはたくさんあるはず。

 

同期のみんなより、かなり出遅れてしまったけど、

 

絶対芸人として売れてやる。。

 

そう心に誓った。