「夢」と「金」!!現実ってキツイよな。。(社会人編)

 

22歳の夏。

 

世間はお盆休みの最中。

 

僕はまた、地元に戻ってきた。

 

夢破れて、

 

全て手放して、

 

帰ってきた。

 

大阪から帰ってくるまでの道中これからのことを考えた。

 

今まではお金がなくて、経験できなかったことがたくさんある。

 

社会人になって、お金を稼げば面白い経験もできるんじゃないか。

 

芸人だけが面白いわけじゃない。

 

世間には面白い人たちはたくさんいる。

 

芸人の延長戦上で、自分なりの「芸人」を築けばいいじゃないか。

 

そう思っていた。

 

そう。

 

僕はまだ「夢」にすがろうとしていた。。

 

実家にもどってきてすぐに、地元の小さな会社で働き始めた。

 

自分で見つけてきた仕事。

 

すぐに採用してもらえた。

 

ラッキーと思っていたが、社会はそんなに甘くなかった。

 

会社の人たちは優しかったし、

 

とても良い人たちだったが仕事には厳しかった。

 

顧客管理の営業の仕事だったが、当然僕はどんくさくて仕事が全然

できなかった。

 

気分が落ちると、

 

いつもお笑いをやっていたときの記憶がよみがえってくる。

 

あの時と状況は全然ちがうのに、

 

まだ自分の中から「芸人」を払拭することができていなかった。

 

ある日の晩。

 

父親と口論になった。

 

金のことで、父親とは揉めることが多かった。

 

仕事が上手く行っていなかった父親は、僕たち子どもからお金を借りる

ことが散々あった。

 

その話から自分がなかなか上手くいかないことを、正直にぶつけた。

 

「金のないオレから金を借りてあんたは返さないじゃないか。」

 

「何度もそのおかげで辛い思いをしているんだ。」

 

「芸人だってホントは辞めたくなかったんだ。」

 

感情を振り切って話していると、自然と涙が出てきた。

 

いつの間にかボロ泣きしていた。

 

自分が情けなかったからだ。

 

全てを賭けた芸人という夢。

 

叶わなかった夢。

 

その続きはクソみたいな生活。

 

夢も何もない。

 

金のために働き、

 

金に振り回される人生。

 

全てが情けなかった。

 

簡単に「芸人」という夢は諦められなかった。

 

その代わりの夢を見つけようとしたが、

 

「夢」っていうのはそう簡単に見つけられるものじゃない。

 

この現実があまりに辛かった。

 

僕は仕事を半年で辞めた。

 

そして体調を崩し、入院をした。

 

入院中は気楽だった。

 

看護師さんたちがすべて面倒を見てくれる。

 

何も考えないでよかった。

 

現実逃避をするにはもってこいだった。

 

2週間ほどで退院した。

 

退院した時に、僕は色々あきらめることが大事だと思った。

 

「夢」

 

「挑戦」

 

「勝利」

 

こんなことを考えてたら、また辛くなるだけ。

 

今は普通にすら生きていない。

 

まずは普通に生きることが大事なんじゃないか。

 

しっかりお金を稼いで、

まずは周りのみんなと同じくらいの生活ができること。

 

しっかり基盤を作ってから、

それからまた「夢」を探せばいい。

 

僕はまた前に居た会社に雇ってもらうようにお願いをした。

 

社長は器がでかい人だったから、

 

また僕を受け入れてくれた。

 

そして社会人としてもう一度、働きだした。

 

まっさらな気持ちでがむしゃらに働いた。

 

もう一度雇ってくれた会社に恩返しができるように必死に働いた。

 

必死に働くほど、

 

普段の生活に追われて、

 

クタクタの毎日だった。

 

しかし、僕はこれが正しい社会人としての姿だと受け入れていた。

 

面白くはない毎日。

 

ただ仕事をして、飯を食って、寝るだけの生活。

 

これを打破する気持ちは湧かなかったし、

 

その生活に慣れてしまっていた。

 

満足はしていなかった。

 

でも仕方ない。

 

そう納得していた。。

 

この会社に入って3年がたった。

 

3年目のその年、僕はまず彼女を作ろうと決めた。

 

真剣に恋愛に向き合ってこなかったツケとして、

 

全然彼女ができていなかった。

 

そう決めてから僕の人生は少しづつ動き出したのであった。。