芸人としての覚悟!!先輩に教えてもらった芸人魂。(プー太郎編)

かなり落ち込んでいる様子だったけど、

しゃべるといつも通り明るい感じだった。

 

だけど無理やり明るくふるまっているように見えた。

 

僕は

「何かあったんですか?」

と先輩に聞いた。

 

するとバックヤードにいた社長が

「妹さんが亡くなられたんや。」

と言った。

 

「えっ?」と、聞き返すと

 

先輩から

「そうやねん。しかも自殺らしいわ。」

と言われた。

 

僕はそんな話を聞くと思っていなかったから、すごくびっくりした。

 

なんて声を掛けたら良いかわからなかった。

 

すると社長が、

「今日のバイトはええから早く愛媛に帰れいうてんねんけど、

全然帰らへんねん。」

と言った。

 

「明日はライブの出番がありますし、いつも通りバイトしてた方が

気がまぎれて良いんですよ。」

と先輩がつぶやいた。

 

僕も「今日は僕1人でやりますから、早く帰ってあげてください。」

と伝えたが、

 

「いつも通りがええねん。」

 

と言って、そのままバイトをはじめた。

 

なるべく休ませてあげられるように、いつもより作業をがんばったが

どうして接していいかわからなかった。

 

深夜に入りお客さんが少なくなると、先輩が話してくれた。

 

「妹とは1つ離れてるだけで、めっちゃ仲よかってん。」

「この間も電話でしゃべったし。」

「なんでなん?って思うけどしゃーないねんな。」

 

そして明日のライブの出番についても話してくれた。

 

「明日はとりあえずやりきるわ。」

「自分が出るって言ってエントリーしたライブや。」

「自分がつらい時にこせ笑わせなあかんねん。」

 

そう言っていた。

 

先輩は今すごく辛い状況なのに、

自分の選んだ道を貫こうとしている。

 

僕だったら迷わずバイトも休んでいるし、

ライブも休んでいると思う。

 

当然僕みたいなぺーぺーと違って、

舞台の場数も多いし、

苦悩もたくさんあったと思う。

 

そんな先輩を見て、自分自身がものすごくちっぽけに見えた。

 

「これが芸人をする人の覚悟か。。」

「おれって全然ダメじゃん」

 

僕はこれまで自分なりに必死になってやってきた。と、

どこか思い上がっていた部分があった。

 

確かに必死にやった事実もある。

 

だけど全然甘かった。

 

まだまだやらなきゃいけないと感じた。

 

それを先輩は姿で教えてくれた。

 

バイトが終わると先輩は、

「今日は気つかわしてゴメンな」

と言って帰っていった。

 

全然そんなことなかったのに、その一言が言えることに

改めて尊敬をした。

 

そして決意する。

 

もう一度芸人としての1歩を踏み出そう。

自分が出来る限界までやってみよう。

面白い漫才をつくるんだ。

 

僕は初心に戻り、新たな挑戦を始めた。