初めてのファン!?深夜の公園でヤンキーにネタ見せ。

大阪に来て初めての夏。

 

僕たちは毎日漫才漬けの日々だった。

 

夜の公園でネタ練習していたある日のこと。

 

その公園はかなり大きい公園で夜でも利用する人たちが居た。

 

散歩をする人、

 

ギターで弾き語りをする人、

 

スケボーの練習をする人など。。

 

僕たちは、その中で漫才をまあまあ大きい声で練習していた。

 

すこしでも前を通った人たちがネタを見てくれるように、

 

アピールしていた。

 

なかなか立ち止まって見てくれる人はいなかったけど、

 

練習も兼ねて本番を意識してやっていた。

 

2時間くらい練習したところで、

 

「あと3回やって終わろうか!」

 

と相方に伝えて、仕上げに取り掛かろうとした。

 

相方と「結構つかれたねー」なんて話していると、

 

4、5人の男女の若いグループが近くに寄ってきた。

 

「お兄さんたち漫才やってるの?」

 

「遠くから見てたんだ!」

 

「スゲーな!」

 

と、話しかけられた。

 

見た感じはやんちゃな感じで、高校生くらいの子たちだった。

 

でも、初めて立ち止まって僕たちに興味をもってくれたことが

嬉しかった。

 

しかも話していると、みんなとてもいい子だった。

 

すると1人の女の子が、

 

「漫才見たいな!」

 

「漫才やってよ!」

 

と言った。

 

周りの子たちもそれに合わせて、

 

「やって!やって!見たいなー」

 

とはしゃぎだした。

 

僕たちは2人で相談した。

 

「ちゃんと見てくれるか分からんぞ(笑)」

 

「まあ、せっかくやしやってみるか!」

 

ということで、ネタを披露することにした。

 

思えば、授業以外で人前でやるのは初めてだった。

 

「はい、どーも!」

 

とネタを始める。

 

序盤のボケでみんなめっちゃ笑っていた。

 

中盤のボケでもめっちゃ笑っていた。

 

最後のオチでもめっちゃ笑ってくれていた。

 

終始爆笑でネタを終えた。

 

なんだったらネタフリの部分でも笑っていたので、

 

ボケが伝わっていたのか分からないけど、

 

すごく笑ってくれた。

 

そして僕たちもネタを終えて、爆笑した。

 

「笑いすぎやろ!(笑)」

 

「ネタフリのところも、全部笑ってたやん!(笑)」

 

思わずツッコんだ。

 

すると、

 

「だって雰囲気がおもしろかったんだもん!(笑)」

 

「お兄さんのしゃべり方マジでウケるよ(笑)」

 

やっぱりネタの内容は伝わっていなかった。。

 

だけど、純粋でとても良い子たちだった。

 

興味をもって話しかけてくれて、

 

漫才でたくさん笑ってくれて、

 

僕たちの初めてのお客さんだった。

 

そして色々雑談をしゃべり終えたころ、

 

最初に「漫才見たい!」と言った女の子が、

 

僕に「サインちょーだい!」

 

と言った。

 

「サインなんか無いよ!」

「大体色紙とかペンもないしー」

 

すると、女の子がカバンからボールペンとコンビニのレシートを

取り出し僕に渡した。

 

「レシートの裏に書いて!」

 

サインを求められた事がうれしくて、レシートの裏にコンビ名と名前を書いた。

 

「ありがとう!応援してるね!」

 

と言って、みんなは帰っていった。

 

その後、あの女の子とグループの子たちと会うことはなかったけど、

 

確かにあの日、

 

初めてファンができた。。

 

たった一日だけのファンは、僕にとって忘れられない思い出になっていた。