稽古場での入学式!!そこはキャラ芸人の巣窟だった。(松竹芸能編)

オーディションに合格した僕たちは、晴れて松竹芸能のタレントスクールに

通うことになった。

 

入学初日。

 

夕方から説明会を兼ねた入学式が行われた。

 

会場は吉本みたいに大きな劇場でやるのではなく、

普段の稽古場だった。

 

人数も少なく、20人ほどしか入学者がいなかった。

 

松竹芸能というビッグネームなのに、こんなに人数が少ないことにビックリした。

 

時間になり、入学式が始まった。

 

挨拶や、注意事項、マナーなどを1通り聞いた。

 

そのあとに卒業までの1年間のスケジュールの説明があった。

 

このスクールを1年で卒業することができれば、松竹所属芸人になる。

 

しかし、吉本とちがうのは「留年」があること。

 

卒業するには社員さんに認めらないといけない。

 

それは面白さはもちろん、態度なども含まれる。

 

「留年」になると後から入ってきた後輩たちと授業をうけることになる。

 

実際、僕たちのクラスにも1人いた。

 

人数が少ない分、良質な芸人に育てようというのが松竹芸能

スタイルだった。

 

だけど、卒業できれば良い。

 

卒業さえできれば「芸人」として認められる。

 

僕はそんなことを思って、話しを聞いていた。

 

説明会も終わり、最後に自己紹介をすることになった。

 

名前を言って、なにか一言話す。

 

そこでボケる人もいたし、真面目に話す人もいた。

 

僕たちは少しボケを入れて、自己紹介をした。

 

ちょっとウケた。

 

しかし、周りの同期はキャラの濃い人が多かった。

 

とにかく濃かった。

 

マジックをする魔女。

 

コテコテの大阪弁の漫才師。

 

いきなりダンスをする太った女の子。

 

不登校の中学生。

 

童貞をカミングアウトする二十歳。

 

動物園状態だった。

 

でも見てて楽しかったし、

これからのこのメンバーと授業を受けるのがたのしみだなと思った。

 

自己紹介が終わり、その日は解散となった。

 

帰り道、相方に今日のことを話した。

 

「たしかにみんなキャラは濃いけど、俺たちだってやれるよ!」

 

「なんかやれそうな気がするんや。」

 

「負けへんぞー」

 

僕はやる気に満ちていた。

 

相方は少し疲れていた。

 

人見知りなところがあるから、ちょっと疲れたみたいだったけど

 

「そうやな。負けられへんな」

 

と言っていた。

 

そして僕たちは、まずネタ見せでしっかり結果を残すことを

目標にした。

 

しかし松竹芸能のネタ見せは、どエライ強烈だった。

 

その化け物級のおもしろさに僕はスゲーを通り越して、

ドン引きしてしまうほどだったのだ。。